先の週末に観た「関心領域」2023年製作米英ポーランド合作1時間半余シネマ。昨年の英国カンヌ国際映画祭や米国アカデミー賞での部門賞を受賞はじめ世界の映画祭を席巻した話題作です。シネマでは、敗戦近いアウシュヴィッツ強制収容所の隣地に自宅を構える所長と家族たちの何気ない一見平和な日常が淡々と描かれます。しかし時折に短く響く銃声やすがるような鳴き声や罵声から、壁ひとつ隔てた強制収容所内の異様な状況がこうした気配や音をつうじて伝わります。焼却炉の煙突から立ち上る煙、水遊び中に流れているユダヤ人らの遺灰、収容所内には無関心に暮らし奪った宝石や服で着飾る婦人たち等々、綿密で詳細な調査の上に制作された当時の歴史的事実により映し出されるナチスの狂気や暴力が、私たちの想像世界に強く迫ります。暗く異様で衝撃的な問題作を鑑賞する週末のことです。