シネックスで「ビバ・マエストロ 指揮者ドゥダメルの挑戦」を鑑賞、これは2022年米国製作2時間余のドキュメンタリーシネマです。南米ベネズエラ生まれの彼は10代の頃から天才指揮者として巨匠らの薫陶をうけ20代で名門ロサンゼルス・フィル音楽監督に就任し世界的な名声を受けますが、その後ベネズエラの政治的混迷の中で大統領府と対立したことで、祖国のオーケストラとのツァー中止と国内への入国禁止の制裁と迫害を受ける事となります。当時のベネズエラは芸術的価値を尊ぶ伝統があり「エル・システマ」と称する制度は、富裕層も貧困層も関係なく楽器の無償提供を通じ「音楽を通じた青少年教育」を実施されていて、これをさらに彼は「音楽は基本的な人権」と述べる場面があるように困難や苦難を抱えながら芸術への国民的理解と浸透に大きく貢献しました。指揮者として各フィルとのリハーサル場面でもユニークで示唆多い彼の言葉は楽団員とも濃密な意思疎通が図られていて、私たちを含む多くの音楽愛好者にも啓発される場面がルポルタージュされています。来年度は彼の来日公演もあるとの由、大変に愉しみです。彼の高らかな精神と未来へと奏でる情熱に賛歌するドキュメンタリーシネマ鑑賞のことです。