「秋が来るとき」2024年フランス製作1時間半余のシネマです、監督フランソワ・オゾンは名匠で国際映画祭での受賞も常連とのこと。フランスのパリ北東部にある自然豊かなブルゴーニュを舞台に人生の秋から冬を迎える老齢女性の人生ドラマが描かれます。このシネマの着想は監督自身の子どもの頃に家族の食事会で起きた毒キノコ騒動からとのこと、主人公の料理を食べて病院行きになるのは孫を連れてパリからやって来た娘。毒キノコの混入はうっかりミスなのか、老いが原因か、娘を疎ましく思う潜在意識にある殺意からか、シネマはのどかで穏やかな秋の情景と対照する緊張感で進みます。そしてこの騒動を発端に、彼女の親友とその少しヤクザな息子、さらに真面目な孫にまで累が及びます。主人公の後ろめたい過去を抱えつつも人生を最後まで自らが納得できる歩みをすすめようとする意味深い想定を超える展開が描かれます。ムーラン・ルージュなどまばゆい歓楽街とのどかな田園風景と、また激しい社会変化を経てきた多様な顔を持つフランスです。各々ひた向きに生きる人生をフランスシネマ感覚で人間味も深く味わうシネマ鑑賞のことです。