昨夜のプライム鑑賞は、2021年米国製作2時間余の「スティルウォーター」。言葉も通じない異国の地で娘の無実を信じ真犯人を探して奔走する父親を描いた骨太なサスペンスです。表題名は彼の住む寂れた米国南部の田舎町の地名から。会社を解雇され失業中の主人公は、留学先の仏マルセイユで女友達の殺人罪で捕まり服役する娘を救うべく単身渡仏。弁護士に見放され言葉も文化も異なる彼の地で蔑視や迫害にもさらされながら、ただひたすら娘の無実を信じ、少ない手がかりを頼りに苦難の努力を重ねます。唯一知り合った女性とその娘との親密な愛情と育みを心の拠り所に彼は前に進みます。しかし事態は意外な方向へと進展し結末へと向かいます。時代に取り残された白人の街スティルウォーターと、混沌する他民族と多様性の街マルセイユとの文化風俗の差異も織り交ぜながら、不器用で逞しい主人公の生き様を、いまや名優の域となるマット・デイモンが主人公を演じます。いつも観る爽快な米国シネマと趣も異なり、今回は重く、人生の意味という知的なテーマに深く思慮する、シネマ鑑賞のことです。