シネックスで「ぼくが生きている、ふたつの世界」をシネマ鑑賞、2024年製作日本の1時間半シネマです。これは作家の五十嵐大氏による自伝的エッセイ「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」を映画化したもので、耳が聴こえない母と聴こえる息子の2人を中心に家族が織りなす日々の暮らしを繊細なタッチで描くいわゆる「コーダ」のシネマです。夫婦どちらもが聴こえない親のもとで愛情をいっぱい受けて育った吉沢亮扮する主人公が、成長すると共に友だちから特別視され戸惑いや苛立ちを感じ母親を疎ましくすらなっていきます。やがて故郷から逃げるように上京することが様々な体験や広い世間を知るきっかけとなり両親との関わりをあらためて見つめ直す事となる彼の半生を淡々と描きます。静かに切なくてしかしわが身も振り返って清らかに励まされる佳作シネマ鑑賞です。吉沢亮と母親役のろう者俳優である忍足亜希子の好演技は大変に素晴らしくて幾度も涙も溢れるシネマ鑑賞のことでした。