ここのところ、イラン制作のシネマを続けて視聴。今回の鑑賞作品は岐阜シネックスで「白い牛のバラッド」、昨年の作品です。映画にはやはり国民性が強く反映するもので、欧州やアメリカ映画をよく観る視点にとらわれず、しみじみと映画渦中の人の目線で視る必要があるなと痛感。その点でイラン国民と描かれる首都テヘランでの市民生活は、敬虔で静かで慎み深く、暮らしの中に宗教思想の道徳が深く根ざしている事を強く感じます。映画では主人公である女性の夫が殺人の罪で死刑に処せられて後に無実であった事から始まります。そこに夫の友人と名乗る中年男性が訪れることにより、友愛と寄り添おうと接近することへの苦悩と葛藤を主軸にして、結末まで2人を描きます。死刑執行数が高い国の一つであるイラン本国ではこの映画は上映禁止の扱いとか。あらためて遠いイランに想いもはせる本シネマ鑑賞です。