「シネマ評価は高いよ」との声で心動き、岐阜の柳津シネマで観た「ロストケア」2023年製作日本で2時間余。このシネマはサスペンスというより、死を巡る考え方の激突に焦点をあてた社会派シネマですね。民家で起きた老人介護センター所長への殺人に端を発し次第に明らかになった施設老人の相次ぐ不審死を巡り、心優しい青年介護士と女性検事との人間存在についての激しい格闘がシネマの中心命題です。それぞれに心の傷と過去があり、経済的にも精神的にもそれぞれに介護で追い詰められる現実があります。安楽死や尊厳死が話題にも上る今日に、ひとつひとつの具体的な現実を考慮して死のあり方を考える必要があるように思います。市場原理による介護格差も生じている今日、現代日本を象徴するような課題を描くシネマ鑑賞となりました。