ネットフリックスで回を重ねて観た「ターニングポイント:ベトナム戦争」は各1時間余の5エピソードで計5時間以上となる長編ドギュメンタリードラマです。この戦争は期間中に計314万人ものアメリカ人兵士(うち女性7200人)が派遣され戦死者と行方不明者は計58,183人と記録され、弾薬も第2次大戦を上回る1,500万トン以上を使用した大戦争でした。北ベトナム側の犠牲者も500万人以上と推定され遺品や遺骨の捜索活動は今もなお継続中です。約20年間にケネディ、ジョンソン、ニクソン、フォードと4つの大統領政権が関わります。1954年フランス軍大敗退のディエンビェンフー会戦後の本格的な関与、1964年北爆を合法化する為に仕組んだトンキン湾事件、米国民に衝撃的だった1968年の北ベトナム軍テト大攻勢とソンミ村虐殺事件、68年から73年まで長期にわたるパリ和平会談、戦闘部隊の撤退と75年の劇的なサイゴン陥落へと続く事実を軸に歴史は推移します。しかし多くの反戦世論や黒人運動の高揚はじめ世界史的な影響まで含む全貌をとらえ検証するという作業はまだ不十分であり謎も多いこの戦争です。終結50年を経た今日にようやくなぜ紛争が起こりアメリカが介入したのか、そして大破綻して国民の信頼を大きく失い政府への不信感噴出に至ったのかを歴史的に考える事ができる時期だともいえます。このドギュメンタリーの鑑賞は現代史の全体について考える大切な場面だとも想うこの鑑賞です。