先日、「最高に面白いから」と知人に紹介されて愉しく観たシネマ「るろうに剣心」シリーズ。これは漫画家和月伸宏氏によって1994～99年に「週刊少年ジャンプ」(集英社)に連載されて大好評、さらにテレビアニメ化もされる等の話題となったアニメ版が、主人公に俳優佐藤健を配して実写映画化しこれまた大人気となった全5作のシネマシリーズです。激動の幕末を刀一本で生き抜いた伝説の人斬り「緋村剣心」が倒幕側剣豪の刺客「人斬り抜刀斎(ばっとうさい)」と呼ばれて恐れられていた彼が、維新へと時代が変わり半生を振り返り「不殺の誓い」を立てて数々の万難に抗い生き抜いていくストーリーに。実写版は2012年から2021年にかけて「るろうに剣心」「京都大火編」「伝説の最期編」「最終章ザ ファイナル」「最終章ザ ビギニング」と、どれも2時間を超える大作ながら日本シネマ史上に残る空前の大ヒット樹立のシネマシリーズ。大ヒットの要因は、俳優に武井咲、江口洋介、有村架純、蒼井優、藤原竜也、神木隆之介、土屋太鳳等々、当代第一線に活躍する若手俳優をズラリと揃えて、各作品の重厚な内容を演出描写。アニメ内容による誇張描写や史実表現への是非は措くとして、幕末から維新へと歴史に絡んだ時代演出の工夫や、人間の複雑な生き様を巧みに描いた表現方法や、卓越した迫真の殺陣シーンの描写等々、様々に挙げられます。そして更に主演する俳優の佐藤健の好演技と、やはり何をおいても、主人公緋村剣心が生命を愛おしみ、敵する相手に対しても、優しくも強くも、やはり不殺を決意しその生き方を貫こうとする彼自体への感慨に胸うたれる想いに由るのでは、と考える当シネマシリーズ鑑賞のことです。
