先日鑑賞したシネマは、カンヌ国際映画祭で特別表彰を受けた早川千絵監督による「PLAN75」。この間、TVのCMでも予告が放映されて、その関心も手伝ってかシネマ会場では年配夫婦など多数の入りでの観賞に。内容は一言でいえば「満75歳から死を選べる社会となった日本の日常」風景を淡々と描くシネマ作品。客室清掃員で高齢を理由に解雇される主人公を倍賞千恵子が扮し、さらに死を選んだお年寄りをサポートする女性スタッフ、「プラン75」申請を担当する市役所職員、介護で働くフィリビン女性ら等々の暮らしぶりと、現代の高齢社会にあってその解決策を「安楽死」とも「尊厳死」ともよぶ死を支援する国の姿を描くシネマとして進行します。シネマは笑顔や笑いもあり、死への支援もあるという日常風景を淡々と描きます。しかしかし、監督者は、自己責任という名の下ですでに始まっている今の歪みの中で、更に起こりうる事実を映像として描くことで、私たち観る者が持つ健全な良識や品性を、静かに強く期待しているエネルギーにも接する、そんなシネマ鑑賞のことでした。