先の日曜夕刻、岐阜シネックスまで駆けつけて観た「ぼくたちの哲学教室」2021年製作アイルランド・イギリス・ベルギー・フランス合作のシネマ。内容は北アイルランドの小学校で校長先生がおこなう哲学の授業の記録ドキュメンタリーです。隣島のイギリスの一部である北アイルランド州は、宗教対立の抗争と傷跡が深く残り、その上にアイルランドへの帰属を巡る政治的な対立も根深い地域で、現在も街の中を高い壁や鉄条網がはられ地域の発展を阻害している映像もまた流れます。この中にあって、シネマに登場する校長は、過去と現実から逃避するのではなく、真正面からその争いを議論させます。そして互いの折り合いを導き出す過程をその中で模索させ、哲学者の知恵はその手助けするに過ぎない事を体験させます。生き生きとした真実をみつめる眼を育てようとする熱さを感じるドキュメンタリーシネマでした。